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刺激的な2週間

 
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先週、今週となにから書いていいかわからないくらい刺激的な毎日でした。

まずは日曜日のギグでアンソニー・ウォンジーから始まり、その後火曜日からはレギュラーギグでいつものドラマーのアンソニーがツアーに行くのでその週は誰か他のドラマーを代わりに入れなくてはならなかったのですが、その代わりがなんと。

ロドニー・グリーン。

ロドニーはご存知の方の多いと思いますが、大輔のCDのプロデュース兼ドラマーもしていて今ではチャーリー・へイデンのバンドやマルグリュー・ミラーやカート・ローゼンウィンケル、ジェラルド・クレイトンなんかとも演奏をしていてクリスチャン・マクブライドと若い頃レコーディングしてたりとかもうとにかく超すごくてわたしの大好きなドラマーです。わたしも4年前に一度だけ一緒に演奏したことがあるのですが、
ロドニーがそのギグを引き受けてくれるっていうことになったらその瞬間から緊張しちゃって大変でした。しかも3日間もやってくれるってことに。

もちろんたくさん練習して挑みましたが、それでもまだ足りないんじゃないかと思いつつ、当日。いつもの場所にすでにロドニーがいました。わたしと数年しか年が変わらないのにすごく貫禄のあるロドニー。わたしは緊張してるんだけどわくわくして変なテンションでした。大輔とロドニーとはそのレコーディングをきっかけに交流があるらしく、数ヶ月前にNYで私たちが結婚したときのパーティに来てくれた友人の一人でもあります。

久しぶりだね、一緒に演奏したのもう4年前だっけ?
なんて話しつつ、演奏開始してみると。

一発目の音からもうびっくりでした。前に一緒に演奏した時もすごかったのに、さらにパワーアップしてるし、とにかく音がきれい。ロドニーのドラムは誰の音にも似ていないユニークなサウンドで繊細でかつソウルフルで時にトリッキーでいろいろ仕掛けてくるので油断しているとやられちゃう(ロストしちゃう)ドラムを叩きます。演奏中のひとつひとつの音をよーく聞いているのでバンドの誰一人が油断できない感じです。それでいてロドニーはバンドに自由を与えてくれるんです。緊張しているのに自由に演奏が出来ていつもと違うことに挑戦してる自分たちがいてなんだか不思議ですが、そうだったんです。
そんなドキドキわくわくな日が3日続いて、最終日には吸収している音楽的な情報量が多すぎて少しやつれそうになったくらいでした。演奏後、ワインを飲みながら色んな話も聞かせてくれてそんなロドニーでもまだまだ成長して行きたいなんて話していたのを聞いたりして、3日間でロドニーに鍛えてもらい成長させてもらえた気がします。

 その後、いつものようにその足でクレオパトラズニードルの深夜セッションのホストをしに向かって数曲弾いたら若手の売れっ子ベーシストのベン・ウィリアムスが来ました。今週はいろいろ刺激がたくさんあるなと思ってたらセッションに来てくれてた友人がなかなか手に入らないと言われていた翌日のハービーハンコックのチケットをくれました!
この勢いで明日はハービー。なんだか興奮しすぎて鼻血が出そうでした。

 その日の二つ目のギグが終わり、家に着いたのが朝4時。翌日は昼にバークリー時代の友人とブルックリンでセッションして、夜は待ちに待ったハービーを見にニュージャージーへ。睡眠不足に興奮し過ぎで体がおかしな状態でしたが、ハービーはこんなわたしをさらにびっくりさせるコンサートをしてくれました!

 バンドメンバーはエレクトリックな編成でエレベのジェームス・ジナス、リオネル・ルイケ、ドラムが若いトレバー・ローレンス。最初の曲のスティービー・ワンダーのYou've got it bad girlでもうすごすぎてすでにやられた私でしたが、その後もハービーのヒット曲だらけでしかもそれを変拍子にアレンジしたりしてリニューアルされてて、ハービーもピアノ弾いたりキーボード弾いたり、歌ったりものすごくってもう72、3歳になるのにハイテンションのまま2時間40分もぶっ続けで魅せてくれました。しかもすごく楽しそう。
最後はRock itで会場がもう大変なことになってしまってもう腰が抜けそうでした。リハから見ていた友人の話によると、リハもあんなテンションでしかもソロも本番みたいにやって2時間以上やっていたとのことでした。あんなハービーでもリハ中にわからないところがあったら若いミュージシャンに「ここのC-弾くタイミングあってる?」って聞いてたみたいです。若いミュージシャンをリスペクトしてたり、あの年になっても新しいことにチャレンジし続けてバンドをハプニングさせて、なにより楽しそうでハービーのすごさを見せつけられた気がします。今までみたライブの中で一番素晴らしかったライブでした。

ロドニーとハービーにこれから進むべき道を教えてもらえた一週間でした。

あの一週間で得たたーくさんの情報をすこしづつ消化しながら練習にギグをこなし、金曜日はBrooklynにあるBAM Cafeというところで演奏してきました。写真が沢山あるので見て下さい。
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Kenyatta Beasley,Stantawn Kendrick,Benito Gonzalez,Jerome Jenningsという熱いバンドでした!急にこの仕事の依頼が来たのでどんな曲をやるのか、誰とやるのか、なんなのか全くわからなかったけど、会場を見てビックリ。サウンドチェックからいっぱい人がいました。

ベースをもって登場すると見た目がわたしだけ場違いみたいなくらいみんなジャズメンな感じで、バンドメンバーからは本当にこいつで大丈夫なのかよみたいな空気が流れていました。確かに写真を見てみると納得。でも曲だってみんなより知ってたよーだ!
って一曲弾いたらみんな仲良くしてくれました。でもそんなのもいつものことなので慣れっこです。
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本番まで何の曲やるかいまいちみんなわかってなかったけど、始まってみたらすごくなりました。
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ノリはイケイケグルーヴスイング系っていうのかな。ケニー・ギャレットのピアニストのベニートもいたのであんなバンドのノリでした。写真はアーティスティックだからわかりにくいけど、演奏中も汗が流れてドラマーなんて汗でびしょびしょでライトが反射して青い色に見えるくらいでした。
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会場のお客さんも盛り上がってくれてさらにこっちもヒートアップしてノリノリでした。
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初めて一緒に演奏したバンドなのにこんな風になるなんて、これがジャズの醍醐味なんだなと思いました。たーくさんのひとが喜んでくれて本当にうれしかったです。

ハービーがライブ中に
「Jazz is "voice of freedom"!」
って熱く連呼してたっけ。


素晴らしい体験が出来た2週間でした。

来週は何が起こるんだろう、わくわくします。もうすぐまた日本に帰ります。またそのことについては後日ブログでお知らせします。
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今日はこの辺で。
by kurijazz | 2012-04-03 03:16


NY在住ジャズベーシスト   津川久里子の公式ブログ


by kurijazz

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津川久里子プロフィール

東京生まれ。両親の影響で音楽に興味を持ち始め、千葉県立富里高校ジャズバンド部にてベースを弾き始める。2002年、奨学金を獲得後、渡米。バークリー音楽大学に入学。 卒業後、数々のボストン近郊のジャズフェスティバルに出演。その後ニューヨークに拠点を移す。

現在著名なAnthony Wonsey, Walter Blanding, Marcus Printup, Lee Pearson, Tia Fuller, Rodney Green, Mike LeDonne, Jeb Patton, Warren Wolfなどをはじめ様々なミュージシャンと共演し、Dizzy's club Coca-cola, Smalls, Kitano NY, Fat Cat, Bar Next Door, Cleopatra's Needleなどの有名ジャズクラブに出演したり、活躍している。

それと同時に阿部大輔、山田拓児、小森陽子、二本松義史らとコラボレーションバンドUoU(ユーオーユー)をNYで結成。UoUのデビューアルバム "Home" はNYのTippin' Recordより2010年10月にリリースされ、米国のJazz week worldのラジオチャート2週連続No.1を獲得。米国のみならずヨーロッパ各国、南米等でもその実績が評価される。2010,2011年の全国ツアーでは長野県上田市の大型野外フェスティバル「Ueda Joint」に2年連続で出演し、大好評を博す。2013年2作目、メンバーのNYへの思いが詰まった「Take the 7 Train」をリリース。1934年創刊の米国で最も権威のあるジャズ専門誌「ダウンビート」に取り上げられ好評を得るなど大変注目されている。日本でも毎年全国ツアーを行っている。 

2012年、母校がある千葉県富里市の市制施行十周年記念式典に記念講演の講師として招かれる。

2013年には日本全国で発売されている音楽情報誌"The Walker's"の表紙を飾り話題となる。

世界でも数少ない実力派女性ベーシストの一人として世界中からその活躍に期待されている。

Website(英文)は
こちらです↓

Kuriko Tsugawa Website

UoUデビューアルバム
"Home"発売!
uouhome
UoU / Home
聞いてみてね。


☆ 津川久里子のTwitter☆

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